ポルシェ911 コードネーム991 フランクフルトでワールドプレミア
ポルシェ911がついにフルモデルチェンジしました。今年のフランクフルトモーターショーははっきり言ってこの話題以外はどうでもいいというくらいビッグニュースです。
今回のポルシェ911のフルモデルチェンジは現行(すでに旧モデルか?)の997型のデビューから数えると丸7年のサイクルとなります。その間ポルシェ版デュアルクラッチのPDKの導入や、限定モデルだったGT3のカタログモデル化など様々な「劇的な」変化があったものの、今回のフルモデルチェンジはその内容を知れば知るほど911にとって大きな変化と考えられ、エンジンが空冷から水冷になった993から996へのモデルチェンジ以上のインパクトがあるかもしれないと個人的には考えています。
■新型ポルシェ911の仕様変更ポイント
事前の情報だと次期ポルシェ911の通常モデルは全てハイブリッド化されるとか、ロングホイールベース化して居住空間を確保(=より高級車志向)になるとか言われてましたが、実際にはホイールベースは100mm拡大したものの全長はわずかに伸びただけ、トレッド含めた全幅は997から変更なしとのこと。実際今回の911はキャビンも大して広くはなっていないのです。この件の解説に関しては清水和夫氏の現地レポートが一番納得感がありましたので要約すると・・・
結局今回の911は「より速く走るため、シャーシの限界性能を上げるためのホイールベース拡張」であって、モータースポーツの世界で一般的に行われている手法と同じ、運動性能を上げるためにボディサイズそのままに4つのタイヤをより四隅に追いやり、同時に各部を軽量化しているとのこと。これに関しては不調が続いているレース部門からのリクエストもあったらしいです。素人的にはホイールベース拡大=小回り効かなくなると考えがちですが(自分もそうだった)、実際の車の旋回性能はホイールベース、ボディサイズ、重量、フロント・リアのオーバーハング長、サスペンションジオメトリーなど様々な要素が絡んでくるので「ホイールベース長が拡大=911の持ち味である旋回性能が下がる」ということではないんですよね。まぁ、理屈で考えればそりゃそうだって感じなんですが、今までの911に対するイメージがあるのでついついネガティブに考えちゃうわけです。
でもまあ振り返ってみれば昨今のフェラーリV8モデルなども同じ流れで変化してきているわけで、ポルシェもようやく重い腰を上げたといったところなのかもしれません。
■新型ポルシェ911のニュルブルクリンク・ラップタイム
で、肝心の速さですが。シャーシの見直しがどれくらい効果が出ているかというと、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェのタイムがカレラSで7分40秒・・・昨今のスーパーカー軍団に比べれば控えめな数字ですが、実はこれ997型911ターボより2秒遅いだけ。ちなみに同タイムにどんな車がいるかというと・・・
ブガッティ・ヴェイロン16.4
メルセデス・ベンツ SLRマクラーレン
ランボルギーニ・ムルシエラゴ LP640
ポルシェ・911GT3
驚くべきは先代とはいえ、実際にはノーマルカレラと別物の「GT1クランクケース」をベースにしたエンジンを搭載する997型の911GT3と同じタイム。しかもエンジンそのものは35馬力ほどカレラSのほうが低い。まあ馬力高ければ速いという訳でもないですが、ポルシェ同士での比較ですからねぇ。しかも今まではカレラ/カレラSとGT3の間にはかなりの性能差があったことを考えると、新しい991型911の潜在能力は極めて高いといえるでしょう。
いやはや最良のポルシェは最新のポルシェとはよく言ったもので、さすがだなーと思います。
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